公開メディアでのたご感想からご紹介させていただきます。心から御礼申し上げます。
【耽美系短編小説『王殺し』黄金郷の昇らぬ太陽】
耽美系という女性向けジャンルですので、この系統(ボーイズラブ含む)がお好きな方にオススメしたいのはもちろんですが、
ラブ要素よりアドベンチャー要素がほとんどを占めていますので、冒険モノがお好きな男性にもお楽しみいただけます。
《傾いていく黄金の国》
こちらを読了したあと、倫理観の相違といいますか、良かれと思って行うことがベストではないもどかしさを感じました。
読者のみなさんは、これを読むとき、主人公らイギリスの調査団の感覚に近いと思います。
科学の恩恵を受け、コミュニケーション社会を生きる。
学びを追求したければ、現地へ行って見聞し記録することができる。
しかし、先住民側ならどうでしょうか?
勝手に踏み込んできて、異国の文明を見せ付け、秩序を壊していく。金品や民を奪っていく。ときに伝統を悪と批判する。
思想がかみ合わない正義は、残酷な結果を招きます。
短い物語なので中盤から少し慌しさを感じますが、設定がしっかりしているので引き込まれてしまいます。
黄金の国を冒険できる、耽美小説です。
(下記URLより転載させていただきました。ありがとうございました)
http://bookdi.gger.jp/archives/21647349.html
【美しき蛮族の王。その存在がこの耽美なる悲劇を生んだ】
かつて、現在のペルー、ボリビア、エクアドルに跨ぐ広大な大地に築かれた大帝国があった。
西暦1533年、スペイン人のコンキスタドールに滅ぼされる約95年の間、繁栄を続けた国家。
太陽神の御許、天をつくアンデスに空中都市を建設した、誰もが知るであろう― タワンティン・スウユ 俗にいうインカ帝国である。 ― (♪ 異人回廊)
というNHKドキュメンタリーチックな前説を勝手に書きたくなるほど未知なる世界への高揚感と、
その先で描かれる耽美な世界が描かれたのが、本作「王殺し」です。
舞台は十九世紀。
南米奥地に住む幻の部族を、研究者キャバリエ率いるイギリスの調査団が訪れる。
若く美しい蛮族の王が治める国は、調査団を歓迎するものの、かつてからの掟に従い、深い交流をすることはなく、託宣の儀式(王が神託を得る儀式)については、その一切を明かすことはなかった。
調査団には、マイヤーという青年がいた。
キャバリエを父と敬い、医学に精通し、異国文化にも強い情熱を注ぐ彼をキャバリエもわが子のように思っていた。
多少の難はあったものの、研究は順調に進んでいた。
最大の謎である「託宣の儀式」を、マイヤーが体験することになる、その日までは・・・。
この託宣の儀式は、2人に、調査団に、そして王ですらも巻き込む大きな事態に発展していく。
『では、先王は・・・』
『先王?』
『前の王です』
『そんなものはいない。王は一人だ』
その言葉の意味する、大きな因果とは・・・!
どうですか。
何だかちょっとワクワクというかドキドキしてきませんか?
大きな謎に直面するまでの冒険劇は、文化考証を交え、見ごたえ十分です。
特に調査団の2人が、調査結果を交えながら考察するシーンは興味深いものがあります。
そして、キーワードの「耽美」という、普段あまり見ない単語の意味は、
この大きな謎にこそ隠されています。
個人的には、耽美的というよりも悲劇的な印象を受け、同時に王への儚さ、哀れさを感じました。
最後は、何というか「嗚呼・・・」と言いたくなる様な。。。<謎
読了後は感慨にふけるといいましょうか。
きっと遠い目をしていたと思います。
ストーリーの構成、内容はとても濃くて読み応えもありますので、ぜひ読んでいただきたい作品です。
(下記URLより転載させていただきました。ありがとうございました)