J庭の売り上げで資料を買う♥
J庭直後に、資料としてこんな本を購入しました。自分には珍しく(?)出たばかり。
『聖杯の神話 アーサー王神話の魔法と謎』(>amazon)
ジョーゼフ・キャンベル著 斎藤伸治訳 人文書院
J庭の2週間くらい前に出た本で気になっていたのですが、自分にはすこーしお高いので購入は迷っていました(新刊なので古書はありませんしね💦)……でも今回、イベント直後に書店に行って内容を確かめ、J庭の売り上げを投資して購入させていただきました♥ 将来の作品の滋養になるはずなので、使い道としては一番正しいサイクル。「直前のイベントの売り上げ」なので、その意味でも特別な本になりました。(後述しますが、この本を突き止めた経緯から面白い偶然も展開しました♥)
…ということで、今回はこんなタイトルに。J庭でうちの本をご購入下さった皆様、改めてありがとうございました!(^^)
探索・触発のハブとして
さて、まだ読み始めなので全体のレビューはできませんが、本の概略をご紹介します。著者は『千の顔をもつ英雄』でおなじみのジョーゼフ・キャンベル(最近は「ジョゼフ」ではないのですね)。アーサー王伝説等に登場する「聖杯」をテーマにした本です。キャンベル流の解釈や、共通項がある伝説の紹介などが収められていますが、ご本人が書籍として書いて未邦訳だったものではなく、亡くなった後に遺された論文や講演記録などから編集された本の邦訳です。(遺稿を管理する財団ができてるそうです)
同じ「聖杯」テーマで以前古書を購入したフラピエさんの本と同じタイトルでした。思わず並べて記念撮影♪
…こう書くと、まるで「聖杯」の資料を集めているみたいですが……じつはイアンシリーズの新作のリサーチに入り込んできた、傍流トピックの間接的な資料です。なので、自分が興味を持っているのは「アーサー王」や「騎士」や「聖杯」……ではありません。(^^;) それにイアンシリーズでは「あまり王道なトピックや切り口は扱いたくない」というヘンなこだわりもあるので(というか作者の嗜好がひん曲がっているので)アーサー王伝説そのものを物語のメインディッシュで扱う可能性は低そうです(少なくとも今のところ)。でもイギリスの「歴史」と「すこし不思議」にセットで足を突っ込むなら、アーサー王に遭遇するのは宿命というものですね。(笑)
…でもこの本には、自分が興味を持っているトピックについてもかなり多く言及があります(それが何かは、将来の本のためにここでは伏せさせていただきますね☆)。こういう資料にはこれまで出会えていませんでした。索引も参考文献リストも完備、引用元も「この本の何ページ」レベルで載っている礼儀正しい本で、もう目が♥です(笑)。自分なりに読んだものから少しずつ資料はマークしていたのですが、その情報が集大成されている感じで(もちろん新情報も!)、これが購入の決め手になりました。
ちょっと愚痴になってしまいますが、今調べているとある分野では(※「聖杯/アーサー王」ではありません)、資料性はあるのに索引がない本がなぜか多くて……むしろ著者の思い入れで断片的に料理されすぎ、自分には読みにくいものの比率が高いのです。(いや、人のことは言えませんです。でもうちの本は研究書ではないのでお許しを☆(^^;))この本はそこがしっかりしているので、この方面の資料探索のハブになってくれそうです。そういう目的で読むのは邪道かもしれませんが……上記のような読みにくい本に当たりすぎて疲れ果てたあとなので、ことさら嬉しいんであります♥(これもある意味「キャンベルへの思い入れ」があるとより楽しめそうな本ではありますが、それはまた別の話☆)
もう何年か早くこれが出ていてくれれば回り道をしなくて済んだなあ……と思わないこともないのですが、「回り道」にこそオリジナリティの種が潜んでいたりするんですよね。このタイミングのズレはむしろ恩恵かもしれません。直観に導かれる場合は別として、効率の良いところに豊かさは乏しいものです。きっと☆
そんなわけで、おかげさまでとても良い「将来への投資」ができました。触発されすぎて別の企画もポコッと生まれてしまいました。それが形になるのか、いつになるのかはわかりませんが……。でも自分には、こういう触発こそが生きる糧に感じられます。すべてを本や作品の形に昇華できるわけではなくとも、「呼吸」や「食べ物の消化と排泄」にも似た自然な営みの一部のような。
…現在はスローペースながら、『脳人形の館』kindle版周りのアレコレをしているのですが……合間にこれを読んでリフレッシュすると同時に、その新しい別企画のほうも温まっています。イアンのほうが先になるはずなので、逆にそれが気軽で企画妄想がはかどるんでしょうね。(いつも通りの天邪鬼とゆーか、目が斜めについてるというか、逃避体質というか……(^^;))
読み物として
資料目線でのご紹介になってしまいましたが、もちろん読み物としても楽しめるので、このテーマやキャンベルにご興味のある方にはおすすめします。現在は前半の「講演が元になっているらしい部分」を読んでいるのですが、やはり翻訳の文体が講演調なので、上品でやわらかく、「講演ベースの昔の新書」(E.H.カーせんせの『歴史とは何か」みたいな)を彷彿とさせます。個人的には好きです♪ ただ、同じような説明が繰り返し出てくることも……これも講演だからかな。でも記憶力がない自分にはかえってありがたいかもです。(後半収録の論文は、カンニングしたらちゃんと論文調の文体でした。当たり前ですね(笑))
読んだ範囲で内容の感想を……と書きかけたのですが、長くなりすぎてしまい、おまけに「途中の印象」どまりなので削除しました。あとで変わるかもしれませんので。読了後に機会(と余裕)があれば、改めて個人ブログか何かに書くかもしれません。(もちろん書かないかもしれません。というのは「資料」なので……スミマセン☆)
出版社さんが、訳者さんの詳細な解説を公開してくださっています。ご興味のある方はどうぞ。
note「聖杯の神話――アーサー王神話の魔法と謎」訳者解説公開
ブックカフェの恩恵
さて、この本についてはネットで紹介を読んでいたのですが、購入する前に実物を確認したかったので、前述の通り通販は避けて書店さんに……具体的にはブックカフェ併設のくまざわ書店さんに出向きました。ネットで在庫を確認できた書店で一番近かったのが理由ですが、カフェ併設は幸運でした!
じつは、日頃はブックカフェってほぼ利用しません。どうも落ち着かない造りの所が多いので……たまたま自分が知ってるお店がそうなのかもしれませんが。(普通の喫茶店で本を読むのは好きです♥)でも今回はほんとにありがたかった! 座ってコーヒーを飲みながら、目次や索引、資料ページ、本文までじっくり確かめることができたんですから。立ち読みでこれをやろうとするとかなり大変です。だいたい足が疲れてきて集中できず、長時間立ち読みする後ろめたさもあって「ええい、買ってしまえ!」と山勘でいってしまうので、あとで後悔することもあります。今回は確信をもってレジに向かえました。ありがとうくまざわ書店さん♪(^^)
偶然の連鎖
さてさて、冒頭にちらっと書きました、この本を知る過程で起きた「面白い偶然」について。
9月中頃にJ庭の準備作業をしていた時、ありがちなことですが、準備とは関係のない、なんとなく惹かれるトピックのリサーチに没入してしまいました(^^;)。その中でたどり着いたのが、人文書院さんのサイトにあったこの本の予告ページでした。芋づるで人文書院さんのTwitterアカウントを見に行き、つぶやきを遡ってリンクやらなにやら渡り歩いていたら…(アカウントがどこかは覚えていませんが)リツイートで流れてきたのが『モーリス・ユトリロ展』の情報でした。なんと地元横浜の高島屋での開催! じつはユトリロは好きな画家のひとりで、しかも初めてユトリロを見たのが横浜高島屋だったのです。
なんて偶然だ!と嬉しくなり、数日後にはユトリロ展を鑑賞。ついでに「初めて見たユトリロ展」を探ってみたら、感慨深い展開になりました。こちらは個人ブログの方にまとめておりますので、よろしかったらご覧ください。