10/6はJ.GARDENに参加させていただきました。スペースにお立ち寄りくださった皆様、ありがとうございました! 写真をたくさん撮ったので織り込みつつ、当日のご報告と、最後にちょっとまじめに池袋のJ庭と創作について思うことなど書きます。写真が多い分ページがいつも以上に長いですが、のんびりおつきあいくださいませ。
さて、来年の春はビッグサイトだと聞いていたので、じつは「池袋最後記念」みたいな小企画を考えていました。でも「む、待てよ? 一時的なことだったら恥ずかしいな」と思いつきオクラにしてしまいました……。(まあたいしたものじゃなかったのですが)しかしパンフでやっぱり池袋サンシャイン最後の開催と確認。うわーん、そうだったのかー!
そして当日それ以上に動揺したのが、尊敬しているbelne先生の3つお隣という恐れ多い配置だったことです。うちは弱小サークルなのに壁配置なのが謎だったんですが、「往年のJUNE」的な傾向で並べていただいたのかも……だとしたら、前回パンフでご紹介いただいた『流星:SF・微JUNE掌編集』の方向で配置していただいたんですね。最後の池袋開催で思い出に残る出来事となりました。(先生の新刊もゲットしてきました。もちろん!)
池袋ラストのスペースは
というわけで池袋ラストのスペースは下のような感じに。新刊はなかったのてすが、カラー表紙のペーパーをなんとか作れたので持参し、新装版と復刊を並べることができました。
ホームズは原作著作権失効で持ち込んでるのですが、サークルの印象が分裂して散漫になるという難点もあるかもです。でも、そもそもここに持ってきたくて書いたのが『追憶のシャーロック・ホームズ』なので仕方ないのです……。(「原作著作権失効二次」で参加するようになった経過は、最後の「池袋開催の思い出」に書いております)
ディスプレイを考えるのも好きなので、このあとさらに100均のオーナメントやら造花やらで飾りをつけました。最終バージョンのスペースを撮り忘れたのがちょっと心残りです。
今回の無料ペーパー
ペーパー表紙はハロウィーンシーズンでどんよりしているイアン。いつもは「帰っちゃうの?ポスター」と同じ絵柄なんですが、今回はポスター企画がなかったのでちょっと残念でした。でも場所が確保できなかったためとのことなので、次回は復活するでしょうかね。なにげにやる気の湧く(笑)企画なので、復活期待しています。
カラー表紙のペーパーは、新刊がないときにお訪ねくださったリピーターさんにせめて何かお土産を(もちろん初めての方へのご挨拶も兼ねて)……ということで始めたものですが、ここ数年恒例になっています。(新刊があることが少ないので(^^;))
「綴じない冊子」型で前半読み物、後半PRという構成です。今回は12ページで、読み物は映画『ゴッズ・オウン・カントリー』のレビュー。ブログ記事の再録に再見した感想を追加しました。また期間限定で電子版ペーパーを無料配信するつもりですので、よかったら会場においでになれなかった方もご覧ください。
新装版や復刊など
『ネガティヴ・ケイパビリティ:絶食系男子イアン・ワージングのレイライン紀行』は印刷所で作ってもらった新装版です。表紙絵や内容は変わりませんが、遊び紙が付いたり、紙質や製本が丈夫になったり、あと念願の背表紙がつきました! 圧倒的にコピー誌ばかり作ってきた自分には嬉しくて仕方がありません(笑)。背表紙にも背景画像を入れたのがちょっとしたこだわり。ホームズと同様に密林社さんにお願いしてアマゾンにも出品したいと思っております。審査を通るといいんですが。
イアンシリーズのスピンオフ短編は長く無料配布させていただきましたが、今回用意した在庫がキリ良く無くなり、今後は有料版に移行することにしました。これまでお連れ帰りくださった皆様、ありがとうございました! 表紙もコピー用紙という簡素な冊子でしたが、けっこうたくさん身請けしていただけて、こちらをきっかけにシリーズ1冊目の『ネガティヴ・ケイパビリティ……』を読んでくださった方もたくさんいらっゃいました。「おためし」と称して配布してきましたが、けっして「一時的な無料配布コンテンツ」ではなく公式続編(?)のつもりなので、今後はきちんとした仕様のものを作って机に置くつもりです。
現在はkindle版のみ配信中です。
ただ、今回「これ漫画ですか?」とお尋ねいただきまして……(2冊をフタつきのポリ袋でパックしたので中が見られなかったのです)1冊目と並べてシリーズ名を表示してはいたんですが、パッと見たときわかりにくいんだなーと今更ながら思いました。なかなか自分では気づけないところです。(お尋ねくださった方ありがとうございます!)これからはわかりやすく表示するようにします。
オフセットで復刊した『追憶のシャーロック・ホームズ』は、アマゾンでは5年近く在庫切れ扱いになっていたんですが、ようやく販売再開するめどがつきました。密林社さんのほうにはすでに発注依頼をしているのですが、現在業務整理期間とのことなので、少し時間がかかるかもしれません。BOOTHでの販売もこちらの版に切り替えます。よろしくお願いいたします。
やはり前回パンフで『流星』をおすすめいただいた影響が大きくて、ご感想を教えてくださる方や、スペースでお連れの方に「これ、すごくよかったの」と説明してくださる方がおられまして、思わずうるっときておりました。(前回はこの本、うちにとっては前代未聞の数でお連れ帰りいただきました!あんなことはもう二度とないんじゃないかと!(笑))こういう古いアプローチの本で共感してくださる方がこんなにいらしたとは……いや、内心「J庭なら」という確信というか期待はあったんですが、ほんとに嬉しいことです。
それと今回驚いたのが、ふだんのJ庭ではほとんど動かない洋画レビュー本も数冊お連れ帰りいただけたことです。特集の『メッセージ』はほんとにおすすめですし、他の映画もおすすめのものが多いので、未見の方がご覧になるきっかけになれば嬉しいです。
そしていつものお楽しみ❤
いつものタカセに寄り、パンを買って帰りました。運よく大好きなデニッシュパンをゲット!(これ無いこともけっこうあるんです!)翌朝トーストしたコレで「コンチネンタル・ブレックファスト」(平たく言えばパンとコーヒーだけ)するのが年に2度の楽しみでした。テレビの健康番組に毒されてるもんですから、いつもの朝は義務感で「まずは野菜~……それからたんぱく質~……」とガッツリ食べてるので、逆にシンプルな朝食はオシャレに感じられて特別感があるんです。(あまりたくさん食べられなくなってきたので、楽に感じるってのもあるかもです。義務感で皿いっぱいの生野菜を詰め込むのはけっこうツラくなってきました(笑))でもこれからは「タカセのパンで」ができなくなると思うとちょっと寂しい。イベントがないと行かないところなんですよね。池袋って……。
池袋開催の思い出(ちょっとまじめに)
搬出した荷物が届き、パンフをパラパラとめくっていたら、欄外のスタッフさんのコメントに「池袋開催の思い出」がありました。会場では暇なのにテンパっているため、手元にあってもろくに読めていなかったんです。改めてじっくり読んでいたら、自分の池袋参加のアレコレも思い出されていろいろ感慨が。
初めてJ庭にサークルとして参加したのはいつだろう? と思ってペーパーの原稿ファイルをさかのぼってみました。最初の「J庭ペーパー」は2005年で、サークル名もペンネームも今とは違い、応募したのは「『追憶のシャーロック・ホームズ』を持っていきたい」という動機からでした。(それまで参加していたのはコミケやコミティア、赤ブーブーさん系などでした)原作著作権が切れているとはいえ二次なので、事務局さんからご連絡をいただいたことを覚えています。参加不可かな、と覚悟していたところ、「原作の著作権切れ」という新たな枠の最初の一歩になるかもしれない、と前向きなお言葉をいただけて、参加することができました。ペーパーではそのいきさつを書いていました。
『追憶ホームズ』はその後kindle等でも出してきた愛着ある作品ですが、オフセットの復刊初売りが最後の池袋開催のJ庭になったことも、ある意味感慨深いです。
ここ数年は帰りに前述のレトロなタカセグリルに寄るのが定番で、窓から見下ろす池袋駅前の風景は自分にとって特別なものになりました。毎回ここを眺めながらいろんなことを考えました。もっと頑張って書こうと思ったり、いただいたご感想を噛みしめたり、ただボンヤリすることを楽しんだり。なかなか創作の時間を確保できず悩んでいたときは、それでもJ庭という場が自分のアイデンティティーを支えてくれていることを――本が売れたかどうかに関係なく、「ここに自信を持って持参できるような作品を作る生活」が自分にとって大切であり、必要でさえあることを――大げさでなく実感したものでした。
正直、自分の作る作品は表面上「BL」とは異なるものが多いです。でも広義のJUNEの要素はいつも深いところにあります。『流星』を多くの方に受け入れていただけたことで、やはりJ庭はコミティアともコミケとも少し違う、自分にとって特別な場所だと再確認しました。「ここに持ってきたい、ここに来る人たちに読んでもらいたい」と思わせてくれるイベントであり、集まる人の持つ美意識を信頼できる場なのです。
うーん、ちょっとこっばずかしいことを書いてしまいました。池袋最後ということで感傷的になっているのかもしれません。でもつねづね、「どうも自分の同人誌作りへの態度は思い入れが重すぎて野暮になっているなー」とは感じています。よく例えに思い浮かべるのは、「草野球なのに『練習や試合のあと仲間と飲むのが楽しみ』ではなく、『ひたすら野球そのものが目的』でいるような感じ……(ほら、野暮でしょう?(笑))創作や敬愛する作品についてお話しする機会は楽しいものですが、下戸なので「飲むのが楽しみ」は夢のまた夢です。もっともそういう話のときは、アルコールがなくとも「酔っぱらったような」話になることが多いのですが。(笑)
…イベントやpixivなどを見ていると、もっと軽やかに、粋に楽しむべき場所なんだろうな、とも思います。二次のときは少しだけそんな感覚にもなるんですけど、一次だとあまりに自分と結びつきすぎて「野暮」に。(^^;) でも結局これが自分じゃん、というあきらめ(?)が、ここ数年ますます強くなってきました。この年になってこうなんですから、もうこれから一皮剥けるとかは望み薄、なんじゃないでしょうか。(笑)
ただ、同人誌=商業予備軍という側面はあまり意識していません。そういう一面があるのは確かですし、自分も漫画では昔そういう経験をする機会をいただきましたが(実は小説を書き出したのは比較的最近のことです)、自分に限らずいろんなご活動を見ていると、それを包含したうえでさらに豊かな、より可能性を秘めた場所に「同人誌」は成長してきた、とつくづく感じます。個人的には「自分が納得できる作品を作る生活」自体に重点があります。落ち着いて吸収と創作をするための時間と場所を確保することが、これまでずっと一番切実な欲望でした。たぶんこれからもそうだと思います。
決して単なる趣味ではなく、経済的に見返りがなければやめられるというものでもなく、これがなくなったら自分が誰かわからないような。「本にして売る・人に読んでもらう」という回路がなかった子供の頃から自然にしていたことですから、時間は足りないものの今の環境はやっぱり幸せで、夢を叶えているのだと思います。いいかげん「自分は野暮な奴なんだ」と開き直ってしまえば、逆に解放される部分もあるんじゃないかと。(笑)
…そういえば、昨夜原稿をいじっていたら、ふと「これを書かなくても誰も困らない」という言葉がポンと頭に浮かびました。そうしたらなぜか、「書きたい」という思いが強くなって筆が軽くなりました。逆説的な福音です。なんなんでしょう。このアマノジャクは。
会場からいただいてきた花を眺めて、しみじみとJ庭の余韻を味わいました。今回はすばらしいダリアとグロリオサ。プロ仕様の花はホントに生きがいいので見惚れます。毎回見るのが楽しみな生花も、ビッグサイトではなくなるのかなあとちょっと気になりますが……。とにかく池袋の思い出とともに写真で永久保存です。
ありがとう池袋。そしてありがとうJ庭! これからもこんな野暮な奴を受け入れてくれる場であってください。