今日5/22は、シャーロック・ホームズの作者アーサー・コナン・ドイルのお誕生日。ホームズのみならずご本人にも転んでしまったファンとしてはお祝いの日、そして二次を書かせていただいたりしてる身には、言葉で言い尽くせない感謝の日です。
…よく「翻訳は最高の熟読」と言います。好きな作品にどっぷりとまみれるために、一節を自分なりに訳してみることは私も好きで時々やります。すごく楽しくて、時間を忘れられます。(好きで個人的にするのですから、時間に迫られることもありませんし(笑))…並べたら怒られるかもしれませんが、ある意味二次創作も似たところがあると思います。角度は違うのですが、自分なりに「奏でる」楽しみ、という点は同じです。(著作権の概念が比較的近代のものであることや、シェイクスピア作品が元ネタを膨らませたものであることなどを思うと、けっこう「創作」そのものの根幹につながる行為なのかもしれません)
ファンフィクションという意味では、ドイル作品は著作権がすでに切れているのでいっそうおおらかに楽しめる、という側面もありますね。でも商業的な二次作品も古くから百花繚乱なので、そういうものを特に触発しやすい作品なんだと思います。人気作品がすべてそういう後継作品を生む方向にいく訳ではないので……。
こっちにいくと長くなりそうなので、お誕生日に話を戻します。(笑)
「ホームズの誕生日」……というのは原作には出てこないのですが、研究者さんが推測して広まった「誕生日」である1/6と比べると、盛り上がりが小さいですね。5/22……。ですがキャラクターが独り歩きして作者を超えるのは、ある意味たいへんな成功の証。ご本人はホームズものの需要に応えるために時間をとられて、本来書きたかったものを書けなかった……みたいなこともおっしゃっておられますが、やはりすばらしいことだと思います。
というわけで(?)、今日はいつも仕事しに行ってる喫茶店でケーキを奮発してお祝い。創元文庫版ドイル傑作集2の『北極星号の船長』をちょりっと再読しました。これに収録されている『いかにしてそれは起こったか』と『深き淵より(デ・プロフンディス)』は特に好きなので時々読み返すのですが、今日お店で読んだのは『火遊び』。久しぶりでまったく内容を覚えていなかったのが幸いして(?)、新鮮に読みました。降霊会で起きた出来事をストレートに描いた一編で、荒唐無稽といえばそうなんですが、不思議な説得力があるんですよね……。
なんといったらいいんだろう、この妙な説得力というか引力と言うか……と思いつつぱらぱらめくっていたら、巻末に翻訳家の西崎憲さん(自分の好きな二作はいずれもこの方の翻訳です)が寄せている『ドイルと怪奇小説』というコラムのなかに、「まさに」という表現があったのでご紹介させていただきます。
ドイルの創りあげたアトモスフィアには「熱気」がある。その熱気は主題が何であれ、ドイルの怪奇小説に独自の色合いを賦与している。その熱気について語るのは難しい。しかし、高空の怪物を主題にした時も、氷原を走る白い影を描写する時も、ドイルが怪異を描く際には読者の心中を騒がしくさせるような何かがつねに存在する。いかに題材が荒唐無稽なものであれ。(p.345)
まさにそれです。「熱気」。自分は特に怪奇ものが好きというわけではないので、この要素が大きいんだと思います。そういうものが込められるって、創作としてある方向での理想だと感じます。(その「熱気」に似たものを感じて好きになるパターンは、怪奇系に限らない気がします)
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…私事になりますが、じつはドイルせんせには、おそれおーくも現在改稿している小説にキャラクターとしてお出ましいただいているので……できればお誕生日に間に合わせたいと、ここのところ焦って空回りしていました。結局間に合いませんが、久しぶりに好きなドイル作品を読み、この「熱気」に当たって、温故知新というか、初心に帰るというか、背筋が伸びるというか……そんな気持ちになりました。一喝いただいたような。自分にできる限りがんばろう……。
(他に『いかにしてそれは起こったか』を漫画にしてみたいという夢もあって、脚色したシナリオとネームまでの状態で10年くらい放置しています。(^^;) 今から手をつけるとまた変えたくなるんだろうな……。ドイルせんせ絡みに限っても、やりたいことがいろいろあります。ひとつずつ形にしていきたい……こういうことがやりたくて生きてるんだから!)
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さて、お話は変わりますが、今週末は5/26-27がピーター・カッシングとクリストファー・リーの連続バースデー。お祝いが続きます。毎年この時期はこうですね。(笑) こちらはカッシングブログのほうにお祝いを書こうと思っています。最近タナバタ並みの更新になっていますが、よかったら覗いてやってください。
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