連載小説『交霊航路:僕と彼女とドイル文書は永遠に』/『十二夜』と『すべての道はローマへ』のこと

遅ればせながら、先月から連載を始めた小説『交霊航路:僕と彼女とドイル文書は永遠に』をご紹介させていただきます。すでにプロローグ4パートと第一章の最初の2パートが公開になっています。お読みくださっているみなさま、ありがとうございます! 長編を分割しての連続掲載で、まだ設定が出揃ったばかりなので、これからの方もゆっくりおつきあいくださいませ。ここでは、影響を受けた映画などまじえてご紹介してみたいと思います。

 

・・・この作品は2006年に同人誌で発行し、一部の方に(笑)ご好評をいただいた長編『交霊航路』を改稿したものです。(昔同人誌でお読みくださった方も、もしかしたらここをお読みいただいているかもしれません。いただいたご感想など心に残っておりまして、改稿の励みとなりました。本当にありがとうございました)

昨年改稿後、電撃小説大賞さんに違うタイトルで投稿させていただき、ありがたくも一次通過で評をお送りいただきました。(選評個人ブログでご紹介しております。選評スタイルなどご興味ある方はどうぞ)同人誌発表済みのSF系長編を投稿できる場が他になく、でも一度は外部の評価を見てみたかったので、少し場違いな作品だとは思いつつ投稿させていただきました。そんな作品にもかかわらず、大変ご丁寧な評を賜って感謝に堪えません。この場を借りて同賞の選考者のみなさまにお礼を申し上げます。とても参考になりました。

  

今回はウェブ用なので、細部に少し手を加えています。読み直すたびにいじりたくなっちゃうんですよね(笑)。

 

 

お話は……あらすじは作品ぺ―ジに書いているので別の切り口でご紹介しますが……SF的要素(量子エンジン搭載の宇宙船など)、パスティーシュ的要素(コナン・ドイルと架空キャラクターという意味でのシャーロック・ホームズ)、「すこしふしぎ」要素(これは展開に絡むので秘密)、実在人物との絡み(こちらも見てのお楽しみとさせてください)、などなど詰め込んだ、おもちゃ箱のような作品です。いろんな要素が入っていますが、いずれも予備知識は不要です。(もちろん予備知識の豊富な方にお楽しみいただけそうな小ネタも含まれていますが、そこはオマケでございます☆)

 

 

で、全体としてSFというかファンタジーというか……なのですが、おもな触発元は『十二夜』『すべての道はローマへ』という二本の映画でありました。といってもパロディとかパクリとかいうものではなく、部分部分で影響を受けている、という感じです。それぞれについて少しご紹介します。

 

『十二夜』はシェークスピア原作で、船が難破し離ればなれになった美しい双子の兄妹を軸に展開するコメディです。時代設定が原作とは違うので、衣装はちょっと近代的です。『ガンジー』のベン・キングズレーが道化のフェステ、名優ナイジェル・ホーソーンがバカにされる執事役などなど、キャストも惜しげなく豪華。個人的には双子の兄を演じるスティーヴン・マッキントッシュ目当てで見た作品でした。その他ヘレナ・ボナム・カーターリチャード・E・グラントトビー・スティーヴンスなども出演しています。(スティーヴンスさんは昨年日本で放映された『ケンブリッジ・スパイ~英国を裏切った美しき男たち』でキム・フィルビー役だったというので気になってるのですが、AXN見られないしソフトも出てないので未見です…見たい!)

執事さんは少しかわいそーな気もするんですが(笑)、大変楽しくいい気分になれる作品です。エンディングの歌をキングズレーが歌ってるんですが、これも素敵です❤

 

 

監督はロイヤル・シェークスピア・カンパニーの演出等を勤めたトレヴァー・ナン。奥さんの美人女優イモジェン・スタッブスが、主人公の双子の妹を演じています。マッキントッシュと並べるとまったく双子には見えないのですが(笑)、映画の中ではそっくりという設定で、故あって男装した妹がとあるお嬢様に惚れられたり、一方兄は難破から助けてもらった男にどう見ても惚れられてたり(笑)、そんなこんなのもつれた人物関係が後半の取り違え喜劇に発展していきます。

『すべての道はローマへ』もコメディで、推理小説オタクの幾何学者とお忍びのハリウッド女優がローマを目指す珍道中。美男俳優のジェラール・フィリップが珍しく髪をブリーチし、顔にそばかすを描いてさえない青年を演じています。女優役はミシュリーヌ・プレール。じつはこのお二人、前年に『肉体の悪魔』で人妻と高校生の悲劇的な不倫関係を演じているのですが、『すべての道はローマへ』は正反対とも言えるドタバタコメディで、お二人とも芸達者ぶりを披露しています。(前作では年の差カップルだったわけですが、じつは同い年だったんだそうです!)

 

 

…『十二夜』からは悲劇的な幕開けから愉快な展開にもつれていくところやキャラクターの一部の性質などを、『すべての道はローマへ』からは、第一章からの主人公で、パリで古本屋を営む青年の元イメージを「ガブリエル・ペガス」という名前ごといただいています。(…というわけで、イラストのガブリエルの顔もそのときのジェラール・フィリップに似せています)「ガブリエル」は天使の名前ですし、「ペガス」はフランス語でペガサスのこと。ちょっと夢見がちな(?)感じが名前に反映してるのかもしれません。(花屋の娘の名前は、もちろんミシュリーヌ・プレールからいただきました♪)

 

小説は1999年に起こるある災厄から始まり、2030年の古本屋ペガスさんの災難、さらには宇宙の旅の話へと風呂敷が広がります。

 

…いつも腐要素のある作品が多いのですが、今回ははっきりとしたその手の要素はありません。というか、男女関係なく、実在と架空の垣根も越えた魂の腐れ縁の物語です。まだまだ先は長いですが、すでに完結している物語なので必ず終わります。(笑)どうぞゆるりとおつきあいくださいませ。

 

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